高齢者が「生涯現役」で働ける仕組みづくり広がる

   

地域の担い手として、高齢者に「生涯現役」を目指してもらおう
とする動きが広がっています。

総務省の「就業構造基本調査」をもとに、
65歳以上の人口に対する仕事を持っている人の割合「有業率」を
算出したデータで、 最も水準が高かったのは長野県で30.4%、
次いで山梨県が30.3%となりました。

有業率が最も高い長野県は、
1978年に高齢者に学びの場を提供する「シニア大学」を開設。
40年以上にわたって定年後の生活向上に取り組み、
現在は10の学部で約800人が学んでいます。


高齢者有業率の上昇幅が関東・山梨8都県で最も高かった栃木県では、
2019年度から「とちぎ女性・高齢者等新規就業支援事業」を
市町と連携して展開。

女性や高齢者と企業とのマッチングを県内各地で実施しており、
栃木県を中心に31店を展開するスーパー・オータニ(宇都宮市)では、
定年を過ぎても本人が希望すれば原則同従業員として働ける仕組みを
取り入れていて、 70歳以上の社員が約70人いるそうです。


高齢者有業率が30.3%と全国で2番目に高い山梨県では、
経済団体や農業団体、福祉団体、シルバー人材センターなどと
「やまなしシニア世代就労推進協議会」を設置。

就職相談会の際に「からだ測定会」を開催し、
個性にあった就職先を紹介しています。

2020年度は高齢者の就労セミナーを県内4カ所で実施し、
101人が参加。
さらに、企業向けのセミナーで高齢者の活用を促し、
企業開拓員が年間150社を回って高齢者の就職先確保を進めています。
2020年度は就職相談が年間405件あり、このうち48人が就職に
結びついたとのことです。


埼玉県では、高齢者が活躍できる職場環境づくりに取り組む
企業や団体を「シニア活躍推進宣言企業」として認定。
定年の延長、継続雇用制度の見直しなど7項目のうち3項目を
満たすのが条件です。

認定団体は県のホームページで公表。
県人材活躍支援課によると、2021年12月9日時点で宣言企業は
2771団体に上っています。
宣言企業のうち、定年の廃止や定年の70歳以上への引き上げなど
に高齢者が活躍できる企業・団体は「生涯現役実践企業」と認定。

実践企業は約480団体あり、中には高齢者雇用に取り組む企業・団体に
最大で200万円を助成する県の「生涯現役実践助成金」の支給を受ける
企業もあります。
運送会社、オークマ(埼玉県八潮市)では、同助成金を受け、
75歳までの継続雇用を実現しました。


上昇幅の順位が30位だった千葉県でも、少しずつ取り組みが広がっており、
柏市は地元の商工会議所や日本政策金融公庫、東京大学などと連携し、
「生涯現役促進協議会」を設置。
高齢者向けの就職セミナーやマッチングイベントなどを定期的に実施し、
これまでに500~600人の雇用につなげました。


企業では高齢者が「生涯現役」で働ける仕組みづくりが
進んでいます。

化粧品製造販売のラッシュジャパン(神奈川県愛川町)は
18年10月から65歳までの定年制を廃止。
ジョブ型の雇用制度を採用しており、役職定年もなく、
給料体系も職場と成果に応じたもので、 国籍や性別と同様に、
年齢でも制度的に差を設けていないそうです。
廃止後はシニアの求人応募も少なくなく、
業歴の長いスキルのある社員の採用にもつながっているとのことです。

家電量販大手のノジマも20年7月から雇用上限を65歳から80歳へと
引き上げていましたが、 21年10月からは希望があれば80歳以上でも
働けるようにしました。

店頭での接客で活躍しており
「シニアの顧客から同年代だから聞きやすいと反響も大きい」そうです。


ちなみに、社長の高齢化も進んでいて、平均年齢は「60.3歳」。
もっとも高い業界は「不動産業」(62.4歳)で、
70代の社長が最多だそうです。

人生100年時代、働き方も大きな変化が起きています。
人々の暮らしと密接に関わる不動産業界でも、これまでの慣例や常識に
とらわれることなく、 柔軟な発想と広い視野をもっていきたいですね。

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