「若者の検索エンジン離れ」は本当か?
インターネット業界では、
「現代の若者は、検索エンジン離れが進んでいる」
という説があります。
いわゆる「ググる」より「タグる」と言われて
かなり時間が経ちますが、今はそれも古く
「タグる」より「タブる」ようです。※注
その理由としては、
・SEOで検索結果が操作されている(から正しい情報が手に入らない)
・SNSのハッシュタグで調べれば間に合う
だから検索エンジンを使わない
というもので、 特に「Z世代」以降の若者に顕著であると
言われています。
「Z世代」とは、1990年後半から2000年代に生まれた人を
指す言葉です。
主に1960~70年代に生まれた人をX世代、
80~90年代に生まれた人をY世代(ミレニアム世代)と呼び、
「X」と「Y」の次世代という点から「Z」という名称が
付けられました。
物心がついたときからすでにデジタル技術が発達しており、
インターネットやオンラインの世界に慣れ親しんでいると
いう点が特徴です。
WEB検索を巧みに使って情報収集をし、
主なコミュニケーションはSNSで行うなど、
ライフスタイルの中心にデジタル技術が存在している世代です。
上記について、果たして事実なのだろうか?と、
博報堂生活総合研究所が、スマホの利用ログをもとに
独自の手法で分析したと、先日発表がありました。
それによると、「若者は検索エンジンで検索しない」は
必ずしも事実とは言えない結果が出たそうです。
20代のユーザーの、ブラウザでの1か月の検索数平均は、
2016年: 約30回
2020年: 約40回
となっており、20代のブラウザ検索回数が増えていることと、
30代や40代よりも、20代のほうがブラウザによる検索を
多く行っている(しかも2016年時点から)ことが、
データから判明しました。
さらに、若者特有の興味深い行動が明らかになりました。
20代の約2人に1人は、ブラウザ検索をしているときに、
同時にTwitter、Instagramも使っていて、 約4人に1人は、
ブラウザ検索と同時にLINE, YouTubeを使っているそうです。
おそらく、SNS上で出会った言葉を即座に検索で調べ、
そしてまたSNSに戻るという行動を繰り返しており、
SNSの利用頻度の増加が検索エンジンの利用頻度の増加にも
つながっているのではないかと推測されました。
こうした行動データがあれば、
「若者は検索エンジンを使わない傾向があるので、
SEOよりもソーシャルメディアマーケティングに舵を切るべき」
といった主張に流されずに、
バランスをとった施策を打ち出していくことが大切である、
ということがわかります。
もちろん、時代の変化に合わせてソーシャルメディアも
上手に使ってマーケティングしていくことは重要ですが、
「SEO」「SNS」などのメディアだけで考えるのではなく、
「ユーザー行動」(カスタマージャーニー)をもとに
マーケティングを考えられるようになっていきたいですね。
ちなみに、Z世代の次には、「α世代」が控えており、
こちらは世代の全期間の人が21世紀生まれで、
おおむね、2030年代から2040年代頃に社会に進出する世代と
いわれています。
テクノロジーの進化により、ユーザーの嗜好や行動も
大きく変化する時代がこの先もずっと続いていくと思われますので、
常にキャッチアップをしていきたいですね。
※注 グーグルでネット検索すること=「ググる」、
ハッシュタグ=「タグる」を検索という表現が定着したが、
最近では、インスタグラム側が独自のアルゴリズムで
ユーザーの傾向を分析し、おすすめのものを表示させる
「発見タブ」=「タブる」という表現が登場している。